2018.12.21金

 〇先日買ったホヤのつけ汁をコップに入れて冷蔵庫に入れっ放しにしていたのをすっかり忘れていたことに、今朝ようやく気付く。別に腐っているわけでもなさそうだったので、そのまま沸騰させて、卵を落として賞味してみる。流石にしょっぱいので、水で薄めてみると、それなりに食べられる味になった。もう一工夫は必要だが、全然悪くない。やはりホヤはいい。

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 〇上野・東京都美術館ムンク展にようやく行く。「叫び」初来日というのが売りの展覧会で、連日盛況らしい。今日も確かに混んでいたが、そんなにひどい混み方ではない。今日来て正解だった。
 展示の方はそれほどすごいと思わなかった。例の「叫び」は確かにいい。いくつか描かれたうちの、初来日のこのヴァージョンは僕の好きなものなので、現物を見れたのは単純にうれしいと思う。しかし、作品保護のために、薄暗い中を行列に並んでさらっと通り過ぎることしかできないので、あまり観たという感じがしない。現物を見たという事実と、サイズの確認をしたというだけだ。他にも、吸血鬼とかマドンナとかの妖艶の女性像も含めて、ムンクの全貌が見渡せて、一通り勉強にはなるが、正直言って、あまり興味をそそられなかった。ムンクの見所は絵面だけで、格段に超絶技巧があるわけでもない。別に現物を見なくてもいいような気がする。以前にフランシス・ベーコン(近美)やウォーホル(森)、岡本太郎(近美)の展覧会に行った時に感じた印象と同じだ。大分前にヴラマンク(損保)や白髪一雄(横須賀)を観に行った時に画面の隅々に魅入ってしまったのとは大違い(ヴラマンクの絵にはたくさんの指紋が付いていた)。浮世絵だって和紙の温もりが味わえる。絵画の展覧会と言えども、絵の質感を楽しみたい。
 「叫び」の取扱いはまさに別格で、礼拝所にでも来たみたいな感じだった。東郷青児美術館(現在は「損保ジャパン日本興亜美術館」というぶっ飛んだ名前になっている)に常設展示の、ゴッホの「ひまわり」を思い出した。特別室の厚手のガラス張りの奥深くに高々と安座ましましている配置は、まるで祭壇のよう。しかも、セザンヌゴーギャンの日光・月光菩薩付き。いろんな伝説のある奇跡の一枚だが、遠すぎてゴッホの筆圧が全然見えない。ははあと拝むだけだ。